慢性筋骨格痛患者における運動に対する自律神経反応

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は、慢性筋骨格痛患者における有酸素運動およびレジスタンス運動に対する
自律神経反応についての論文を引用していこうと思います。

論文

本研究の目的は、慢性筋骨格痛(CMP)患者が有酸素運動や
レジスタンス運動を1回行っただけで、自律神経失調症を示すかどうかを検討することである。
さらに本研究では、有酸素運動やレジスタンス運動を何ヵ月にもわたって長期間続けることが、
患者の自律神経活動の緩和に有効であるかどうかを明らかにすることも目的とした。
現在の研究を広く透明性をもって収集し、統合するために系統的な文献レビューを行った。
このレビューの検索結果は、治療者が運動誘発性痛覚低下における機能障害の原因を特定し、
患者の疼痛を管理するのに役立つ可能性がある。

レビューの結果、CMP患者は有酸素運動および
レジスタンス運動中および運動後に異常な自律神経反応を示した。
交感神経活動と副交感神経活動は、健常対照群と比較して、
いずれの運動においても正反対の反応を示した。

しかし、心拍数と血圧は健常人と差がなかった。
介入研究では、CMP患者における自律神経系への
肯定的な介入効果を明らかにした研究もあったが、そうでない研究もあった。
さらに、疼痛の再教育と改善との関連性については議論があった。

有酸素運動とレジスタンス運動への1回の暴露
このような患者では、1回の有酸素運動後、
交感神経と副交感神経の機能不全が起こり、
特に自律神経系の回復が遅れる。
基本的に、安静時には迷走神経が活性化され、交感神経活動は抑制され、
運動によって交感神経と副交感神経のバランスが切り替わる 。
心拍数の回復は、運動後の交感神経バランスの鈍化を表すことがあり 、
CMP患者は健常対照群と比較して心拍数の回復が有意に低い。
この傾向は、心拍変動のHFでも実証された 。
線維筋痛症 、強直性脊椎炎、関節リウマチなどの疾患は、
自律神経機能障害を呈する傾向があると報告されている。
したがって、これらの疾患の患者は、有酸素運動後に自律神経調節障害を示すことがあり、
これは回復の遅れとして表現される。

治療介入としての有酸素運動とレジスタンス運動
ある研究では、有酸素運動がCMP患者の
自律神経調節障害を改善する介入効果を示したが、
別の研究では介入効果は示されなかった。
どちらの論文も、週2回という同じ頻度の運動を利用していた。
しかし、1つの研究の介入期間は24週間と、別の研究の12週間よりも長かった。
さらに、研究における介入の強度は、別の研究では50~75%であったのに対し、
予測最大心拍数の60~80%と高かった。
これらの研究から、CMP患者の自律神経系機能の改善には、
介入強度を高くし、介入時間を長くすることが有効であることが示唆される。

実際、高強度の有酸素運動は、中強度の運動よりも自律神経活動に強い影響を及ぼす。
さらに、低強度だが頻度の高い介入は自律神経活動を改善する可能性があるが、

対象となった2件の研究では週2回と頻度が低かった。

結論として、CMP患者に1回だけ運動負荷試験を行ったところ、
同様の運動負荷試験を行った健常対照群と比較して、
自律神経調節のいくつかの指標においてさまざまな障害が認められた。

数週間から数ヵ月にわたる有酸素運動およびレジスタンス運動の治療プログラムは、
CMP患者の自律神経指標に一貫した影響を与えなかったが、
自律神経機能障害の改善傾向が確認された。

一方、疼痛の軽減と自律神経変数の改善との関連性については議論の余地があった。
これらの結果は、CMP患者、特に線維筋痛症患者の慢性疼痛を緩和する上で、
臨床医や治療者にとって有用であろう。
運動プログラムの特定の特徴(運動の頻度、時間、強度、種類など)が、
自律神経調節や疼痛の臨床的な正常化と関連するかどうかを明らかにするためには、
CMP患者を対象としたさらなる研究が必要である。
また、変形性関節症などの他の疾患についても、コホートの対象を拡大し、
痛みを管理するためのさらなる研究が必要である。

まとめ

1回とかの効果で見ると何ともですが、
長期的な面では運動効果は様々な面にプラスをもたらしてくれますね。

慢性的なものの改善に長期的な面を意識しないといけません。
そもそも慢性的なものは長期的なマイナスによって起こされるのに、
改善を短期的に起こそうとは普通に考えて難しさがあります。

めんどくさいとは思いますけど、
習慣的な運動を目指して、
ちょっとずつでもプラスの効果を続けれると
体はとてもよくなります。

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この記事を書いた人

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KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。