BLOG

2025.03.17

グルコマンナンは体重減少に効果があるのか?

こんにちはTOMOAKIです。
以前クライアントさんからグルコマンナンって
体重減少において有益なのですか?といった質問がありました。

グルコマンナン(Glucomannan)とは、
水溶性食物繊維の一種であり、
コンニャク由来の成分です。

サプリメントとして販売されることも多く、
特に体重管理、血糖値の改善、脂質異常症のサポート
などの効果が期待されています。

しかし、これらの効果について、現時点で
どの程度の科学的根拠があるのかを正確に把握する必要があります。

本記事では、無作為化対照試験(RCT)の系統的レビューとメタアナリシス に基づき、
グルコマンナンの有効性とその限界について客観的に検証します。

体重減少への影響

グルコマンナンは「体重減少に有効である」と言われることがありますが、
現時点で得られているデータは限定的であり、決定的な証拠とは言えません。

Zalewskiら(2015)は、過体重または肥満の成人を対象とした
無作為化対照試験(RCT)6件を分析し、以下のような結果を報告しています。

「成人において、2週間~8週間のグルコマンナン摂取により、
プラセボ群と比較して有意な体重減少が見られた
(例:8週間で -3.17kg, 95% CI: -5.05 ~ -1.29)」[Zalewski BM et al., 2015]。

しかし、注意すべき点として、このメタアナリシスに含まれた研究のうち、
複数の時点で一貫して有意な体重減少を示したものは1件のみであり、
その他の研究では効果の持続性や再現性が示されていません。

さらに、BMI(体格指数)にはいずれの試験でも有意な変化が見られませんでした

また、Onakpoyaら(2014)のメタアナリシスでは、
グルコマンナンとプラセボの間で
統計的に有意な体重減少の差は認められませんでした

「現在のRCTのエビデンスでは、
グルコマンナンが統計的に有意な体重減少をもたらすことを示していない」
[Onakpoya I et al., 2014]。

したがって、グルコマンナンの体重減少効果については不確実性が高く、
現時点では有効性を裏付ける十分なエビデンスがない
というのが妥当な結論です。

血糖値への影響

血糖値に関する研究では、空腹時血糖(FBG)の低下に関する
有意な結果が報告されていますが、その効果の程度や臨床的意義については
慎重な解釈が必要です。

「グルコマンナンの補給は、空腹時血糖(FBG)を有意に低下させる
(WMD: -0.60 mmol/L, 95% CI: -1.16 ~ -0.05, P=0.03)」
[Mirzababaei A et al., 2022]。

また、糖尿病患者においては、より顕著な効果が報告されています。

「糖尿病患者において、グルコマンナンの補給により
空腹時血糖(FBG)が -1.28 mmol/L(95% CI: -2.54 ~ -0.02, P=0.04)低下した
[Mirzababaei A et al., 2022]。

一方で、食後血糖(PPG)には有意な影響が認められませんでした
また、FBGの低下もわずか0.60 mmol/Lの範囲であり、臨床的に重要な改善とは言い難いです。

血中脂質への影響

グルコマンナンの摂取は、総コレステロール(TC)および
低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)の低下に関連していますが、
その臨床的意義は限定的です。

「グルコマンナンは総コレステロール(TC)を -2.26(95% CI: -2.98 ~ -1.55, p<0.001)、
LDLコレステロール(LDL-C)を -2.57(95% CI: -3.41 ~ -1.74, p<0.001)低下させた」
[Zhu H et al., 2024]。

しかし、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)や
中性脂肪(TG)には有意な変化が見られませんでした。

「グルコマンナンの摂取により、総コレステロール(TC)、
LDL-C、中性脂肪(TG)が有意に低下
したが、
HDL-Cや血圧(BP)に対する有意な変化は認められなかった」
[Sood N et al., 2008]。

また、これらの数値変化は統計的には有意であるものの、
臨床的に意味のあるレベルではないと考えられます。

安全性と副作用

グルコマンナンの摂取は一般的に安全とされていますが、
一定の副作用が報告されています。

「グルコマンナンの摂取により、腹部不快感、下痢、
便秘などの軽度の副作用が生じることがある

[Onakpoya I et al., 2014]。

特に、高用量での摂取や水分摂取が不十分な場合、
腸閉塞のリスクが指摘されているため、注意が必要です。

結論

グルコマンナンは、体重管理や血糖値・脂質の調整に
一定の効果を示す研究もありますが、
現時点ではその有効性について決定的な結論を出すのは難しいと考えられます。

特に、体重減少に関しては一貫したエビデンスが不足しており、
BMIの変化が認められていない点は注意が必要です。

サプリメントとしての使用を考えている方は、
過度な期待をせず、
あくまで補助的な選択肢の一つとして検討するのが適切
だと思います。
体重減少においてはあくまでエネルギー収支の適切な赤字が肝となります!

実際に摂取する際は、適切な用量を守り、
水分をしっかり取ることが重要です。

また、既に糖尿病や脂質異常症の治療を受けている方は、
主治医と相談した上で取り入れるのが望ましいでしょう。

今後の研究で、より明確なデータが示されることを期待しています。
グルコマンナンに関する新たな知見が得られたら、また記事にしていきます。

参考文献

この記事のカテゴリ

この記事を書いた人

アバター画像

TOMOAKI

パーソナルトレーナーでFLEXER COACHINGのメインコーチ。ブログでは主にオンラインコーチング上で得た知見のシェアや減量(ダイエット)、筋肥大に関する記事を執筆しています。

TOP