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2025.02.16

飢餓モードという俗説について

こんにちはTOMOAKIです。

ダイエットをする際、
「摂取カロリーを減らせば減らすほど痩せる」
と考える人は少なくありません。

しかし、極端にカロリーを制限すると、
かえって体が「飢餓モード」に入り、
痩せにくくなるという話もよく耳にします。

この「飢餓モード」とは本当に存在するのでしょうか?
いくつかの論文をもとに詳しく解説します。

「飢餓モード」とは何か?

「飢餓モード」とは、摂取カロリーが極端に不足した際に、
体がエネルギー消費を抑え、
脂肪を蓄積しやすくなる状態を指す俗説です。

この考え方では、
「カロリーを極端に減らすと、
 体が飢餓状態と判断し、
 代謝を低下させ、脂肪を燃焼しにくくなる」

とされています。

しかし、この概念は多くの誤解を含んでおり、
科学的には完全に正しいわけではありません。

実際には、極端なカロリー制限によって
代謝が低下することは事実
ですが、
それが「飢餓モード」という形で
脂肪を特別に蓄えようとするわけではありません。

むしろ、長期間にわたる低カロリー食が
基礎代謝にどのように影響を与えるのかを理解することが重要です。

「飢餓モード」はどこまで本当なのか?

極端なカロリー制限が基礎代謝を低下させることは、
いくつかの研究で示されています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27136388

Fothergillら(2016)の研究では、
米国の減量リアリティ番組『The Biggest Loser』の参加者を対象に、
極端なカロリー制限と急激な体重減少が
基礎代謝に与える影響を調査しました。

その結果、大幅な減量後も基礎代謝が低下したままであり、
減量前の状態に戻らなかった
ことが確認されました。

この研究は、急激なカロリー制限によって、
代謝が適応的に低下すること(adaptive thermogenesis)
を示す代表的な例です。

しかし、これは「脂肪を蓄積しやすくなる」という意味ではなく、
「消費カロリーが減るために体重が落ちにくくなる」ことを意味します。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26399868

Müllerら(2015)の研究では、
長期間にわたるカロリー制限が
エネルギー消費にどのような影響を与えるかを調査しました。

この研究では、エネルギー不足が長期間続くと、
体は適応的に代謝を抑え、エネルギー消費を低下させる
ことが確認されました。

つまり、「飢餓モード」という言葉が示すような
「脂肪を蓄積しやすくなる」という現象ではなく、
基礎代謝が低下し、カロリー消費量が減ることで、
ダイエットの進行が遅くなる
というのが科学的に正しい解釈です。

まとめ

「飢餓モード」という言葉は誤解を生みやすい表現ですが、
科学的には「極端なカロリー制限により基礎代謝が低下する」ことは事実 です。

しかし、これは「体が脂肪を積極的に蓄える状態になる」という意味ではなく、
カロリー消費量が減るために減量が停滞しやすくなることを指します。

飢餓モードはニュアンスは違えど
極端な食事制限はどちらにせよナンセンスです。

適度なエネルギー収支の赤字を保つのが理想的です。

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TOMOAKI

パーソナルトレーナーでFLEXER COACHINGのメインコーチ。ブログでは主にオンラインコーチング上で得た知見のシェアや減量(ダイエット)、筋肥大に関する記事を執筆しています。

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