出生前の飢餓から60年後の生物学的老化の加速

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は出生前の飢餓から60年後の生物学的老化の
加速についての論文を引用していこうと思います。

論文

生後間もない時期に飢饉によって引き起こされた罹患が、生物のより一般的な頑健性と回復力の発達を損ない
その結果、加齢に伴う全身的な衰えが加速されるというものがある。
この代替仮説を検討するために、我々は、子宮内飢饉暴露の自然実験研究で
収集した血液中のDNAメチル化(DNAm)データを解析し、飢饉生存者とマッチさせた
対照群との生物学的老化のペースと進行の違いを検証した。
飢饉生存者と非被爆対照者を、早期の人生における逆境の歴史と関連する
先行研究におけうる3つのDNAmによる生物学的老化の指標で比較した。
今回の解析ではさらに、飢饉の影響について、女性と男性、また妊娠時期による違いを調べ、
家族間および家族内比較における所見の一貫性を検証した。
この研究結果は、加齢に伴う全身の衰弱の加速が、胎内飢饉被曝生存者の
健康障害に寄与している可能性を指摘するものである。

飢饉被爆群N=547人、時間対照群N=176人、同性で被爆していない
兄弟姉妹N=308人が参加を承諾し、電話によるコンピューター支援構造化面接を受けた。
データ収集は、飢饉から約60年後の2003年から2005年にかけて行われた。
面接を受けたN=1,031人のうち、N=971人はクリニックでの検査にも参加した。

オランダ飢饉の自然実験研究参加者の血液DNAメチル化データを解析し
胎内飢饉曝露が60年間の追跡調査における生物学的老化の加速と関連するという仮説を検証した。
その結果、DunedinPACE時計で測定すると、胎内飢饉被曝生存者は生物学的老化のペースが速かった。
しかし、GrimAge時計とPhenoAge時計で測定した生物学的年齢の差は小さく、一貫性もなかった。
これらの指標に飢餓暴露が時期特異的に影響するという証拠は観察されなかった。

これらの所見は細胞数の共変量調整に対して頑健であり、推定値の精度は低いものの、兄弟差分析でも同様であった。
我々が解析した3つのDNAm時計はすべて、他の研究において罹患率や死亡率との関連を示す証拠を示している。
早期の経済的逆境に関する先行する準実験的分析では、
DunedinPACE時計の初期バージョンとGrimAge時計の両方で測定した
後期の生物学的老化に胎内暴露の影響があるという証拠が発見された。

しかし、DunedinPACEのみが、DHWFSの全サンプルにおいて、
胎内飢饉曝露との一貫した関連性の証拠を示した。
DunedinPACEは、GrimAgeと比較して、飢饉生存者に生じる前臨床的な健康変化に対する感度が幾分高いのかもしれない。DunedinPACEは、中年期成人の生理学的低下速度の分析から開発された。
これは、老化のペース(Pace of Aging)表現型を測定するように設計されており、
システムの完全性の低下速度として定義されている。
対照的に、GrimAgeは中年期から後年期の成人における死亡リスクの分析から開発された。
これは生物学的年齢、すなわち現在のシステム完全性のレベルを測定するように設計されている。
このような設計の違いは、胎内飢餓曝露の中年期追跡調査における感度に影響を及ぼす可能性がある。
先行研究では、妊娠初期に飢餓に曝されると、精神障害、有害な代謝表現型、
死亡率などの健康転帰に大きな影響を及ぼす可能性が示唆されている。

飢餓暴露の妊娠時期の分析では、妊娠初期が影響を受けやすい時期であるという証拠は見つからなかった。
全体として、胎内で飢餓にさらされると、60年後の生物学的老化のペースが速くなることが示唆された。
飢饉の影響における性差を解析したところ、胎内飢饉暴露が生物学的老化の
DNAm測定に及ぼす影響は、男性に比べて女性で大きいことがわかった。

これは3つのエピジェネティック時計すべてで観察されたが、DunedinPACEと
GrimAgeで最も顕著であった。ヒト以外の動物では、オスの方が生後早期の
障害に弱いという証拠がある。しかし、胎内飢餓暴露に関する先行研究では、
心血管系疾患や代謝性疾患に対する飢餓の影響は、
男性に比べて女性の方が大きいことがしばしば報告されている。
選択的不妊および/または胎児死亡により、飢饉期間中の男性の出生数が減少するという証拠もある。
その結果、生まれてくる男性の赤ちゃんが特に頑健であるということも考えられる。

まとめ

妊娠中に太ったからといって
減量、ダイエットをすると時期を考えないと
子どもに影響があるかもしれません。
なのでただ自分の見た目の為だけは注意が必要ですね。

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KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。