みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回はバルサルバ法、腹腔内圧への影響と抵抗運動中の
安全性の問題についての論文を引用していこうと思います。
論文
この系統的レビューの目的は、現在の研究文献の範囲と質を検討し、
腹腔内圧(IAP)増加に対するバルサルバ法(VM)の有効性と、
レジスタンス運動中にVMを行うことの安全性を評価することであった。
VM単独でIAPが増加し、レジスタンス運動中に自由呼吸(すなわち、VMを避ける)と比較して
VMを行うとIAPが増加するという仮説が立てられた。
また、レジスタンス運動中に自由呼吸と比較してVMを行うと、血圧反応が上昇するという仮説も立てられた。
これまでのところ、レジスタンス運動中にVMを行うことによるIAPの増加や関連するリスクに対する
VMの有効性を評価するための系統的レビューは行われていない。
このような情報は、ストレングス&コンディショニングコーチが、
レジスタンス運動中の呼吸方法についてトレーナーにアドバイスする際に有用であろう。
このレビューには14の論文が含まれた。
結果として、本データは、VMが単独でIAPを増加させること、およびVMがさまざまなレジスタンス運動中の
IAPを増大させることを示す証拠であり、われわれの当初の仮説を裏付けるものである。
VMはレジスタンス運動中のIAPを増大させるにもかかわらず、VM単独時のピークIAPは一貫して大きかった。
さらに、レジスタンス運動の強度と努力の両方がIAPに影響し、運動強度と努力の増加に伴ってIAPの漸増が観察された。
VMはレジスタンス運動中の血圧上昇と関連しており、当初の仮説を裏付けていた。
しかし、VM単独は、レジスタンス運動中にVMを行う場合と比較して、
より大きな血行動態の変化と関連していた。
ウェイトリフティング中の有害事象とVMとの関連を明確に強調した利用可能な症例研究から、
これらの症例は初心者または中程度の訓練を受けた人に限られていることがデータから示された。
経験豊富な(競技志向の)レジスタンス・トレーナーでは、このような症例は記録されていない。
さらに、これらの事象は、レジスタンス運動と関連したVMの結果であることが示唆されたが、
これらの患者がレジスタンス運動と組み合わせてVMを使用していたかどうか、
あるいは事故・事象の医学的素因が存在したかどうかは不明である。
このレビューの結果は、レジスタンス運動中に行われるVMがIAPを増加させることを示しているが、
その結果、血行動態に変化が生じ、脳血管疾患、心血管疾患、ヘルニアに
罹患しやすいレジスタンス・トレーナーの健康リスクを高める可能性がある。
健康リスクを最小限に抑えるために、レジスタンス・トレーニングに取り組む前に健康診断を受けることを条件に
ストレングス&コンディショニング・コーチは、レジスタンス・トレーナーに対して、
リフト中に短時間のVM(3秒以内)を行うように指導することができます。
この実践は、ウェイトベルトの着用と同様に、IAPを効果的に増加させ、
脊柱の安定性をもたらし、リフティングのパフォーマンス向上につながる可能性が高い。
VMは、強度の高い負荷を持ち上げる際に自然に生じる反射的反応であると思われるため、
スクワットなどのリフト中の脊柱の安定性を低下させ、腰部損傷のリスクを増大させる可能性があるため、
この練習を推奨すべきではない。
さらに、レジスタンス運動中のVMは、めまいや失神の危険性があるため、誇張されるべきではありません。
初心者に比べて経験豊富なレジスタンス・トレーナーに見られる血行動態反応の低さを考慮すると、
トレーニングの適応が健康と安全のリスクを軽減する可能性があります。
したがって、初心者のレジスタンス・トレーナーは、
低強度(VMが回避可能な<80% 1RMで、自発的疲労まで挙上しない)からトレーニングを開始し、
徐々にVMが誘発される強度へと進歩させるべきである。
今後、レジスタンス運動中にVMを行うことが負荷を持ち上げる能力を高めるかどうか、
またレジスタンス運動中に発生するIAPの増加が腰の構造を保護するかどうかを直接調査する研究が必要である。
さらに、レジスタンス運動中の使用の安全性を確認するためには、医療記録の広範なレビューと評価が必要である。
まとめ
腹圧をしっかりしておけば腰の怪我を防ぐことが出来る場合が多いですが
それ以外にはデメリットがあることは頭に入れておかなければなりません。
例えば、糖尿病の人において急激な血圧の上昇で眼底出血、失明などが
リスクとして挙げられるのでそういった部分も考えながら
負荷設定などが出来ると望ましいです。
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