こんにちは、TOMOAKIです。
今回は高齢者の筋力・筋量向上に注目した
研究結果について紹介します。
研究では、ミルクプロテインと
ホエイプロテインの比較が行われ、
興味深い結果が明らかになりました。
論文の概要
このレビューでは、高齢者の筋力トレーニングにおける
牛乳ベースのタンパク質補給の効果を評価しました。
PubMed、Scopus、EBSCOhost/SPORTDiscusでの
システマティックサーチが実施されました。
以下の基準を満たすランダム化比較試験が選択基準となりました:
平均年齢が60歳以上の高齢者を対象とした、
あらゆるタイプの牛乳ベースのタンパク質補給と
対照補給を比較した試験。
結果から以下のポイントが明らかになりました。
- 10〜15gの乳タンパク質の補給は、
筋力トレーニングによって引き起こされる
除脂肪体重(LBM/FFM)の増加を増強する効果がありました。 - 興味深いことに、5件の研究のうち4件では、
同じ量以上の乳清タンパク質の補給は、
対照の補給と比較して負の効果を示しました。 - 牛乳ベースのタンパク質補給では、
筋力の改善はタンパク質の用量が
22g以上の場合にのみ観察されました。
研究の結果から、高齢者の筋力トレーニングにおいて、
牛乳ベースのタンパク質補給が乳清タンパク質よりも
優れた効果を示すことが示されました。
また、1日のタンパク質摂取量を最適化することで、
補充効果を最大限に引き出すことができると結論づけられました。
なぜミルクプロテインなのか?
ミルクプロテインが高齢者の筋力・
筋量アップにホエイプロテインよりも
効果的な理由には、いくつかの要素があります。
アミノ酸の生物学的利用率の違い
ミルクプロテインは、ホエイプロテインよりも
アミノ酸の生物学的利用率が高いとされています。
研究では、ミルクプロテイン摂取後の
血中アミノ酸濃度の上昇がホエイプロテインよりも
高いことが報告されています。
このようなアミノ酸の利用率の違いが、
ミルクプロテインが筋力・筋量アップに
効果的である要因となっている可能性があります。
栄養素の多様性とアミノ酸の持続的な放出
ミルクプロテインには、
単なるタンパク質だけでなく、
他の栄養素も含まれています。
これにより、ミルクプロテインの摂取によって
アミノ酸が持続的に放出されることが期待されます。
一方、ホエイプロテインは他の栄養素が
除かれているため、アミノ酸の放出が
速くなるとされています。
高齢者の場合、消化機能やアノーバル(筋肉形成)機能
の低下がみられることがあります。
そのため、ミルクプロテインのような
アミノ酸の持続的な放出は、高齢者の筋力・
筋量アップに有効な要素となる可能性があります。
インスリンの役割
ホエイプロテイン摂取時には、
インスリンの分泌が増加します。
インスリンは筋肉タンパク質の分解を抑制し、
筋肉の成長に関与する重要なホルモンです。
しかし、高齢者ではインスリンの分泌が
低下していることがあります。
このため、ホエイプロテインの効果が
高齢者には限定的である可能性があります。
一方、ミルクプロテインには他の栄養素も含まれており、
それらがインスリンの分泌を促進する可能性があります。
これにより、ミルクプロテインが高齢者の筋力・
筋量アップに効果的な要素となっている可能性があります。
効果的な摂取条件
次に実際に1日あたりどのような食事を摂っている
高齢者にとってミルクプロテインが推奨されるのか?
またその場合は1回あたり何gの摂取が推奨されるか?
またミルクプロテインの摂取の必要性が低い高齢者はどんな人か?
この辺りを紹介していきます。
タンパク質摂取量
本研究では、1日のタンパク質摂取量が
1.1g/kg/day以下の高齢者において、
ミルクプロテインの効果がより顕著に
現れることが示されました。
したがって、通常の食事からのタンパク質摂取量が
不足している場合に、ミルクプロテインの摂取が推奨されます。
ミルクプロテインの推奨摂取量
研究結果によれば、
筋量アップにはミルクプロテインの
摂取量が10〜15g、筋力アップには22g以上の範囲が
効果的であることが示唆されています。
飲まなくても良さそうな人
一方、ミルクプロテインのサプリメンテーションが
必要ではない高齢者には、以下のような人々が含まれます。
タンパク質摂取量が十分な場合
タンパク質摂取量が既に推奨されるレベル
(1.1g/kg/day以上)に達している場合は、
追加のミルクプロテインの摂取は必要ありません。
他の栄養素がバランスよく摂取されている場合
高齢者の健康には、単一の栄養素だけでなく、
バランスの取れた食事が重要です。
ミルクプロテインはタンパク質源として
優れていますが、他の栄養素も重要です。
他の食事成分や栄養素のバランスが良好である場合は、
ミルクプロテインのサプリメンテーションは
必要ないかもしれません。
まとめ
結論としては、ミルクプロテインが
高齢者において筋力・筋量向上に
より効果的であることが示されました。
たんぱく質摂取量が1.1g/kg/day以下の
60歳以上の高齢者においては
ミルクプロテインの摂取を
検討しても良いかもしれません。
逆に普段からそれ以上しっかり
たんぱく質を摂取できている方は
追加して摂取する効果はうすそうです。
結局は1日の総摂取量が重要ですので
普段の食生活で肉魚などしっかりたんぱく質を
意識することが大事です。
以下のたんぱく質量を超えられるよう
心がけてみてください。
体重 | たんぱく質摂取量の目安 |
---|---|
40kg | 44g |
50kg | 55g |
60kg | 66g |
70kg | 77g |
80kg | 88g |
もちろん、個々の状況や健康状態に応じて
ホエイプロテインを選択することも考慮されるべきです。