多要素の傷害予防プログラムが運動スキルに及ぼす影響

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は、多要素の傷害予防プログラムが児童および青少年の
基本的な運動スキルに及ぼす影響についての論文を引用していこうと思います。

論文

この研究では、基本的動作技能(FMS)を実施している
小児と青少年を対象に測定したバイオメカニカルアウトカムと
神経筋パフォーマンスに対する多成分傷害予防プログラム(MIPP)の
効果に関するエビデンスを統合することである。

以下の研究を対象とした。
(1)18歳未満の傷害のない参加者を対象としたもの。
(2)頻度や期間に制限なく、MIPPを取り入れた介入を少なくとも1つ実施したもの。
(3)標準的なトレーニング/ウォームアッププログラム、偽介入、
 無治療のいずれかを実施した対照群を用いたもの。
(4)いずれかのFMSで測定した生体力学的アウトカムおよび/または神経筋パフォーマンスを
 少なくとも1つ調査したもの。
(5)ランダム化比較試験(RCT)またはクラスターRCTとしてデザインされたもの。

対象とした研究では、MIPPがFMSの3つのカテゴリー(運動能力、バランス能力、物体操作能力)の
バイオメカニクスと神経筋学的パフォーマンスに対して、
統計学的に有意なプラス効果と統計学的に有意でないマイナス効果を併せ持つことが報告された。
27報の論文のうち23報で、少なくとも1つ の肯定的/有益な効果が報告されている。
メタアナリシスでは、垂直跳びパフォーマンス、ランニングスピード、ランニング加速度、
ダイナミックバランスについては有意な正のプール効果サイズが示され、
ドリブルについては有意な正のプール効果サイズは示されず、
水平跳びパフォーマンスについては有意な負のプール効果サイズは示されなかった。
複数の文脈における身体活動を促進するためのFMSの関連性を考慮すると、
フィジカルリテラシー介入、体育の授業、組織的な身体活動におけるMIPPの実施は、
特定のFMSにおけるMIPPの肯定的効果と、傷害発生率の減少における
MIPPの有効性の報告によって支持される。

このレビューで研究されたMIPPの特徴は、
同じ集団に焦点を当てた他の系統的レビューやメタアナリシスで
研究された介入の特徴と類似している。
ほとんどの論文は、6~10週間の間に週2~3回、
11~20分のセッションでMIPPを使用していた。
27の論文のうち25の論文がウォームアップとしてMIPPを使用しており、

これは、MIPPは傷害が起こりうる激しいセッションの前に
急性かつ有益な適応を誘導できるため、ウォームアップに適していると
示唆したことと一致している。

ドリブルは、メタ分析を行うのに十分なデータがある唯一の物体制御スキルであった。
ドリブルはサッカーに特化したものであったが、
文脈特異的な課題におけるMIPPの効果についての洞察を与えてくれた。
ドリブルのプールされた効果量はプラスであったが、有意ではなかった。
具体的には、3つの研究がプラスの効果を報告し、2つの研究がマイナスの効果を報告している。
これらの結果にもかかわらず、対象物コントロールスキルを含むMIPPを開発することは、
参加者がこれらのスキル中の神経筋制御を改善することで、
環境刺激をより良く、より速く処理できるようになり、
注意能力および運動能力が向上する可能性があるため、重要である。

結論として、MIPPは、FMSを実施中の小児および青少年を
対象に測定された特定の生体力学的アウトカムと
神経筋パフォーマンスにプラスの影響を与えた。

長時間の介入は参加者のコンプライアンスに悪影響を及ぼす可能性があるため、
上達と多様な動作スキルに焦点を当てた短時間の
MIPPをセッションの最初に実施すべきである。

適切に設計されたMIPPは、FMSにおけるバイオメカニクス的および
神経筋学的パフォーマンスにプラスの効果をもたらすのに十分な刺激を提供するため、
トレーニングの特異性、強度、量を考慮しなければならない。
実施の忠実性を高めるためには、関係者の関与を優先させる必要がある。
アスリートはスポーツに関連した場面でMIPPの恩恵を受けていることから、
それほど専門的でない個人もMIPPの恩恵を受けることはもっともである。
さらに、フィジカルリテラシー介入、体育の授業、組織的な身体活動において
MIPPを実施することは、MIPPが傷害リスクを低減し、
神経筋パフォーマンスにプラスの影響を与えることから、
安全な身体活動の促進に役立つ可能性がある。

まとめ

スポーツの前のアップもしっかりしたのをやれば、
スポーツパフォーマンスを上げますよって感じですね。

筋トレ界隈でよく耳にしますが、
”ストレッチをしたらパフォーマンスが下がる”。
もちろん静的ストレッチをやるとパフォーマンスが下がりますが、
どれぐらいで下がる?、どれぐらいでパフォーマンスが戻る?。
ストレッチでも動的ならどう?と。
元々、論文の結果としても
狭義の意味合いで言われていたものが
広義になっていきストレッチそのものを否定的に捉えてしまうと、
実はパフォーマンスアップに繋がるはずだった事も
行わずに伸び悩んだりします。
なので、こういったアップに関してもプラスもマイナスも
知識を蓄えていくべきかなと思います。

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KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。