大会後の回復に関する研究(後編)

こんにちはTOMOAKIです。
この記事では前回紹介した
ボディビル系競技の大会後の
回復に関するレビュー研究の
結果の続きを紹介していきます。

大会に向けた減量による
生理学的、心理的な影響や
それらの回復にどれくらいの時間軸が
必要か
など、研究結果を知ることは
競技をやられている人や
これからやられる人、トレーナーやコーチの方々にとって
有意義な知見になるかなと思い記事を書いています。
(自分も含めて)

研究の背景や目的
研究手法、研究結果の前半につきましては
こちらよりご確認ください。

大会後の回復に関する研究(前編)

研究結果と結論(後編)

研究の結果としてコンテスト直後の生理的回復に
直接影響を与える6つの重要な要因が特定されました。
以下に示す通りです。

(1)身体組成
(2)回復食摂取

__以上は前編にて紹介済み__

今日は以下4つについてです。

(3)安静時代謝量(RMR)回復
(4)内分泌系回復
(5)月経周期回復
(6)回復の心理学的側面

RMR(安静時代謝量)

(3)のRMR(安静時代謝量)に関して
RMRは、間接熱量計を用いて
全参加者(n = 41)の59%で観察された。

試合後2ヶ月未満のアスリートを追跡調査した研究では、
24人のアスリートはRMRに有意な変化を認めず、
2人の女性アスリートは試合後4週間以内にRMRが増加するか、
試合前のベースラインRMRレベルに戻った。

さらに、Trexlerらは、試合前の準備段階と試合後4~6週間の間に、
RMR回復と体脂肪率の間に正の相関があることを示した。

アスリートを2~6ヶ月間観察した研究では、
15人中13人の参加者がRMRまたは
エネルギー利用可能量の増加を経験
し、
コンテスト前の準備段階の基準値に向かって、
または基準値を達成したことがわかった。

この期間内に、2名のアスリートが、
試験前のベースラインRMR測定値を5~8%上回った。

以上よりRMRの減量前のベースラインまでの回復には
2~6ヵ月ほど
を見ておくと良いのかなと思います。

純粋に体脂肪率が上がり体表面積の増大による基礎代謝増
オフシーズンで食べる量が増えることによる
食事誘発性熱産生の増加など
RMRは自然に上がっていくのかなと思います。
(RMRは基礎代謝+食事誘発性熱産生+体温調整の加算量)

内分泌系

(4)の内分泌系に関して
テストステロンは、最も多くの男性参加者(n = 17)において、
試合準備前のベースライン測定値に向かって増加するか、
試合後 4 ~ 6 週間でベースラインに達した。

観察されたほとんどの女性アスリート(n = 35)において、
テストステロンは試合後4ヶ月まで
試合前のベースライン測定値を下回ったままであった。

グレリン及び甲状腺ホルモンは、
試合後6ヶ月まで完全にベースラインに到達しないものの、
試合前のベースライン測定値に向かって増加することが観察された。

レプチンは、試験後4ヵ月以内に試験前の
ベースライン値に向かって増加するか、
ベースライン値に達することが観察されたが、
6ヵ月の最終データポイントまでベースライン値より
低いまま
であることも示された。

コルチゾールは、コンテスト当日までの数週間で
上昇していたものが、コンテスト後4~6週間で減少した。

SHBGとインスリンは大会後4〜6週間以内に
増加するかベースラインに戻り

エストラジオールは、大会後に1人の女性アスリートのみでモニタリングされ、
大会後4か月以内に大会前のベースライン値に戻った。

ある程度サンプル数あるものを
表にまとめるとだいたいこんな感じで
やはり回復にはある程度の期間が
必要だなという印象です。

内分泌系名称ベースライン付近までの回復期間
テストステロン男性4~6週、
女性4カ月まで下回ったまま
グレリン及び甲状腺ホルモン6ヵ月後で完全ではないが増加
レプチン4カ月以内で増加、
6ヵ月後でもベースより低いまま
コルチゾール4~6週間で減少
SHBGとインスリン4~6週間以内で増加

月経周期

(5)の月経周期回復に関して
月経機能は、4つのケーススタディにおいて、
質問票を介して追跡された。

33名の女性アスリートにおいて、
ほとんどの者が個々の研究期間において
月経不順を経験
していた(n = 31)。

Hulmiらは、27人のアスリートのうち7人が
試合後4ヶ月まで無月経を経験したことを報告した。

Hallidayらは、競技後71週目に月経の再開を経験した
1人のアスリートを観察した。

競技後10週間以内に月経機能が正常化したことが、
エネルギー摂取量、身体量、および脂肪量が
最も増加した時期に、1人の女性アスリートにおいて観察された 。

やはり女性競技者の場合は男性と違い
月経周期への悪影響も考慮して
競技と向き合う必要がある
のだと再認識しました。

結論と今後の展望

体組成と将来のアスリートの結果を考慮しながら、
競技後の生理的回復を促進するために、
3つの食事戦略が提案されている。

(1) 維持必要量まで摂取エネルギーを徐々に増やす

(2) 自由食

(3) 維持必要量のエネルギーにすぐに戻す

上記いずれかを、高タンパク質摂取と、
トレーニングの種類および負荷の戦略的な管理と
並行して実施すること
が推奨されます。

ベースラインの生理機能を回復させるために、
これらの食事戦略のうちどれが優先されるかは、
まだ分かっていないのが現状
です。

今後、競技後の生理的な完全回復が起こる時期や、
競技後の回復期にアスリートの健康と
パフォーマンスを最もよくサポートする戦略を
明らかにするための研究が必要である。

以上が論文の結論と今後の展望ですが
個人的にはコンテスト後1日~1週間は
(2)の自由食でこれまで食べたかったものや
行きたかった旅行など精神的にリフレッシュさせ
そこからは(3)のメンテンナンスカロリーで
1~数週間様子を見て
じわりじわりとカロリー収支を+に微増させると
良いのではないのかなと考えています。

この記事を書いた人

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TOMOAKI

2021年度JBBFジャパンオープンクラシックフィジーク168cm以下級準優勝など数多くのコンテストで優れた成績を残し続けており、2022年度から正式にmaison de FLEXER所属のパーソナルトレーナーとして指導中。KONDOやKAMEYAMAより常日頃から様々な知識を供給されそれを活かしてオンラインコーチングで月当たり約30名を指導している。