高難易度部位である広背筋下部について

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は、広背筋下部という個人的には、
ボディメイク部位の中で最難関だと考えています。
なので、この広背筋下部について記事にしていこうと思います。

広背筋下部とはどこを指すのか?

では、まず第一に広背筋下部とはどこか?
参考的にアーノルド大先生の画像を引用します。
前から見ると赤丸部分。

裏から見るとこの部分。

次は解剖学的に考えてみます。

上画像を見ていただくと、広背筋の起始部はたくさんあります。
この中でどこが広背筋下部かと考えたときにどこだと思いますか?
個人的には第9(10)肋骨から12肋骨を介して、
骨盤への付着が広背筋下部だと考えています

大まかに広背筋繊維の流れを考えると、
広背筋上部は胸椎にかけて、
広背筋中部は腰椎にかけて、
広背筋下部は肋骨、骨盤にかけてであると考えています。
なので、ここで一つ個人的意見で断言しておくと。
上部と下部で広背筋を分けて考えている方が多いかと思いますが、
それでは足りません。

上画像の部分がよく広背筋下部と言われる部分です。
個人的にはここは中部であると考えています。
これよりもしたの胸腰筋膜、クリスマスツリーが
広背筋下部と言っている人や記事を見かけますが、
有り得ないとだけ言っておきます。
ボディビルなどのバックポーズにおいて、
胸腰筋膜部分の盛り上がりは
骨盤から胸椎にかけて”縦”に筋発達をしています。
広背筋はアウトラインから脊柱にかけての”斜め”の筋の流れです。
筋の走行が全く違うため、”縦”ならば
脊柱起立筋群だと思っています。

なぜ広背筋下部が難しいのか?

広背筋下部が難しいと考える最大の理由は、
”胸椎の屈曲”が必須になるためだと、個人的に考えています。
まず、胸椎と腰椎の分離の動きの獲得が必要になります。
ただ、胸椎を曲げるのではなく、
腰椎をフラットに保ちつつ、胸椎のみを屈曲させる。
かなり技術的に難しい部分と、
あと胸腰椎移行部の可動が出ていることも必要です。
デッドリフトのように、脊柱を真っすぐに保つだけだと、
はっきり言ってやり方を知っていれば誰でも出来ると思っています。
ただ、”胸椎屈曲しての動作は誰でも”までは言い切れないと思っています。
ただし、腰椎曲げて腰に負荷を乗せてもいいなら誰でも出来ます。

これが腰椎ごと丸まっている状態です。
ともあき君のようなチャンピオンでも
技術的に難しいと断言するレベルです。

こちらが腰椎真っすぐ胸椎丸まる状態です。
さすがの近藤先生。器用ですね。

これを重さを持ちながら、維持し動作を行うのが広背筋下部を狙う方法です。

なぜ胸椎屈曲が必要なのか?

その理由は”先に上部などに収縮がかかってしまえば、
下部の方まで収縮がかけれない
”からです。
広背筋上部側は肩甲骨下角にも、胸椎にも付着があります。
胸椎が屈曲することで、胸椎・肩甲骨への上部繊維の
収縮を抑えることが出来、下部・中部への収縮の”余力”を残せるわけです。

広背筋下部に収縮をかけるには?

※やり方の前提として、ある程度の体の状態にエラーがないことを前提にします
実際にお客様に試させてもらった結果、
フォワードネックや、肩甲骨の挙上などがある場合は、
それぞれにフォーム修正が必要があったため、
ある程度のエラーがないこと、筋の可動が出ていることを
前提とさせていただきます。

まず、胸椎を屈曲し、頭部頸部を屈曲位にし、
気道を閉じるような形にします。
※肩甲骨挙上が入らないように、首の裏を伸ばす感覚です。
そのまま肩甲骨に下制を入れる意識を挟み、若干肩甲骨を開きます。
そのまま腹圧をかけ、腰椎をニュートラルに保ち、動作を行います

こうすることで、広背筋下部側に張力を張ることが出来、
収縮感が得られます。

分かりやすくすぐに感覚を出そうとするならば、
座った状態で、上半身を丸める、真っすぐ、反る。
この3パターンで手を後ろに下げるようにしてください。
すると収縮がかかる部分が変わりますよね。
反ると上側の方、丸めると下側に収縮感が得られるはずです。


ではここで、日本3位に輝いたマンティ福原さんの
広背筋下部を狙ったベントオーバーロウのフォームを
参考画像として、利用させていただきます。

ベントオーバーロウでは、矢印の方向に
”重力”という負荷がかかります。
この”重力のベクトル”は”肩甲骨が開くベクトル”と同じです。
なので胸椎を屈曲する意識だけでも重力によって
肩甲骨を開くような状態にすることが出来ます。

トモアキ君とマンティ福原さんの
背中トレ動画はこちら→リンク先

ベントオーバーロウで広背筋下部を狙うならば、
胸椎屈曲の意識だけでも大丈夫なので、
一周回って簡単なのかもしれません。
昔あった伝説のプーリー。
“The Legendary low”などでの
プーリーマシンで広背筋下部を狙う場合は
前述の意識を入れないと、刺激が入らないので難易度が上がります。

万人はやるべきではない

この広背筋下部狙いはトレーニングをしている人、
万人がやるべきかと考えるとそうは思いません。
ベントオーバーロウならば腹圧が抜けやすい人だと
腰が先に限界を迎える可能性もあります。
そもそもの話ですが、難易度が高い以上、
刺激が入らない人、出来ない人ならばこの方法をやる必要はない
と思います。

出来る人ならばいい種目でも、
出来ない人ならば無駄な時間
になってしまいます。
そのような無駄な時間を無理にこの種目に割くぐらいならば、
プルオーバーなどのストレッチをかけ、出来る状態に持っていけて、
且つ、筋肉へ刺激が乗せれる種目をやる方が効率的
かなと思います。
その後、刺激が入るならば種目を足すといった形で良いと思います。

まとめ

今回は、広背筋下部についての個人的な意見をまとめましたが、
まだ上手く理解しきれていないと思っています。
個人的感覚、お客様への実験などを行って、
鍛えることは出来るのですが、理論が完成していない感覚です。
今後も精進していきます。

過去のおすすめ広背筋記事
広背筋の疑問②

この記事を書いた人

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KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。