KONDOです。
運動に関連して「代謝をあげて〜」
みたいな文をよく見るんですが
実際代謝のこと理解している人って
どれくらいいるんでしょうね。
ググればたくさん情報が出てくる現代で
どこかのパーソナルジムのブログや
個人ブログ、情報まとめサイト的なページは
星の数ほど出てきますが
具体的な根拠および文献を引用してる記事は
あまり見かけませんので
今回は私が個人的にまとめてみます。
ということで今日は大雑把に
基礎代謝やDITについて記述します。
過去の記事にて代謝について記述済みです。
ぜひ目を通してみてください。こちら。
そして結論をまず先に冒頭で書いておきますが
基礎代謝やDITについて理解が深まると
「継続」の重要性が露わになると思います。
そう、継続です。最重要事項です。
ちなみに長文です。
1回運動をした程度での
代謝の亢進などたかがしれてますので
スクワットで代謝アップみたいなのは駄文です。
誤差
まず前提として知っておいて欲しいのは
「エネルギー消費量は正しく算出できない」
ということです。
どれだけ動いたら○○kcalみたいなのです。
これはあくまでも目安であり
正しい数値は算出不可能であるということ。
痩せるためには
エネルギー摂取量<エネルギー消費量
となることが大前提となりますが
双方とも概算となるわけです。
概算となるが故にこの大前提が難しく
疑問符が浮かぶ方も多いのです。
エネルギー摂取量に関しては
例えばコンビニの弁当などの既製品では
とりあえず日本の法律で
成分表示上のカロリーの誤差は
±20%ほどまで認められております。
過去にこれについては記述済みです。
再度目を通してみてください。こちら。
200kcalと思っていたものが
240kcalってこともあり得るわけです。
全て既製品など1日の食事を済ませる方で
1日2000kcalの設定をしている方として
1600kcal〜2400kcalまで誤差があります。
これが仮に+の方になっているとして
400kcal毎日余剰していて1ヶ月経つと
12000kcalのプラス収支となりますから
えらいこっちゃですよね。
というようにエネルギー摂取も消費も
明確な数値を算出することが不可能であり
多かれ少なかれ誤差が生じるということです。
だから体重をあくまでも変数と捉えて
鏡での見た目の変化重視とすべきなのは
こういう点からも言えます。
エネルギー(カロリー)収支計算が
非常に難しく大抵が間違っている
と言われゆ所以が上記のことです。
基礎代謝と安静時代謝
基礎代謝(Basal Metabolic Rate)ってワードは
みなさんもちろん知っていますよね。
生命活動を維持するために必要な
最低限のエネルギー消費量であります。
生きてりゃ勝手に消費するエネルギー量です。
この基礎代謝の測定は
前日の夕食後に12時間経過し、
食物が完全に消化・吸収されている
早朝の空腹時に排便・排尿を済ませ
室温20−25℃の部屋で
安静仰臥位・覚醒状態にて観察されます。
ジムなどに置いてあるInbodyなどの
測定器を使うと数値として出てきますが
これも同じく概算でしかありません。
“目安として“と前置きが置かれるのは
このためでもありますが
甲状腺ホルモンの上下にも関連するため
基礎代謝は基本的に測れずあてにならない
と思っておいた方が良いです。
前述の通りかなりコントロールされた
条件で行われるので宿泊が必要となり困難です。
そのため多くはできるだけ動かないように移動し
安静状態を30分ほど保ったあと
測定されることもありこれを
安静時代謝(Resting Metabolic Rate)と言います。
基礎代謝量よりも安静時代謝量の方が
若干ですが数値として多くなります。
おおよそ基礎代謝量の20%アップほどと言われたりします。
とりあえず認識としては
何も活動していなくて安静にしてても
勝手に消費されていく数値のことです。
この数値が大きければ大きいほど
必要とするエネルギー量は大きく
消費するエネルギー量も大きいですよね。
だから少しでも数値的に大きくすべく
増加できる筋肉を増やそうとするのです。
筋肉と代謝のパラドックス
そして基礎代謝に関わるのは
脳や心臓や肝臓、腎臓そして骨格筋などです。
1kgあたりの相対的な基礎代謝量で見ると
心臓や腎臓は440kcal/kg/日と非常に大きく
対して骨格筋は13kcal/kg/日と小さいです。
筋トレ否定派の方はこの部分を用いて
「筋トレしても筋肉はなかなかつかないし
ついたところで代謝量は僅かしか上がらない」
と言う方が度々見受けられます。
心臓の重さは成人で約200〜300gほどで
握り拳ほどの大きさだそうなので
計算しやすいように200gとしたら
実際は88kcal/日となりますね。
これに合わせて計算すると200gの筋肉は2.6kcal/日。
では筋肉を増やして基礎代謝アップ
というよく見る文を考察しましょう。
大前提として筋肉は容易に育ちません。
容易に育つ条件としては
- トレーニング未経験者(初心者)
- アンナチュラル(ステロイド)
未経験者の場合はスタートの筋肉量が
少なく基礎代謝量も低い状態であるため
エネルギー摂取量>エネルギー消費量とする
構図が容易であることと
トレーニングの刺激に慣れていない分
衝撃が強く筋繊維の破壊も容易なためかと。
これを俗に初心者ボーナス、とでも
言うのか言わないのか・・・
(肥満も初心者に含みます)
そして歴を積めば積むほど筋肉は簡単に増えません。
週に4〜5回ハードなトレーニングと
食事もたっぷり摂ってオーバーカロリーにしても
それでも年間で1kg増えればかなり良い方です。
しかもこれは男性の場合になります。
ハードに、そして沢山食べて、です。
女性のボディメイクにおける難度は
この記事にて詳述しております。
当ジムに来ている方や
他のパーソナルジムに行かれている方で
我々含めたパーソナルトレーナーが
3ヵ月おきぐらいでどんどんデカくなっていますか?
なっていないですよね。
筋肉を増やすために意図的に
オーバーカロリーにしている女性は
コンテスト出る方以外ほぼ居ないのでは・・・?
ボディメイクとして良い体を目指して
みたいな感じの方は寧ろダイエット傾向では?
おそらくオーバーカロリーな食生活を
送れている人は限りなく少ないかと思います。
これがパラドックスです。
筋肉を増やすためには
エネルギー摂取量>エネルギー消費量が必須の条件
となるのは周知のとおりです。
ダイエットすなわち痩せるためとは逆の事になります。
ということは筋肉を増やして基礎代謝を上げて
痩せやすい身体に〜というのに疑問符が浮かびます。
なぜならオーバーカロリー
つまりは1度太らなければいけないからです。
もとい、筋肉を育てるために
オーバーカロリーな食生活を送りながら
太ることを妥協する食生活を送らなければならないのです。
ボディメイクとして最終的にスタート前より多い
除脂肪体重(体脂肪が少なく骨格筋量が増加)を目指し
基礎代謝を上げて痩せやすい身体を作り上げるのであれば
太ることを妥協して筋肉を長期的なスパンで作り上げ
その後に育てた筋肉を最大限残したまま体脂肪だけを除く
という一連の流れが絶対に不可欠になります。
単純に除脂肪を目的とするのであれば
食事を整えてアンダーカロリーにして筋トレを行えば
スムーズに落ちていきます。
基礎代謝の上昇という文言、かなり難しいと分かりました?
さてさて、週に1~2回のトレーニングにおいて
尚且つ短期2~3ヵ月というスパンで
果たして骨格筋量を何グラム増やせるでしょうか・・・
上記の研究は青年期の肥満の方を対象としたもので
結論としては以下の通りとなっております。
”半年における有酸素運動・筋トレ、その両方という
いずれの群でも安静時代謝量の増加は見込めなかった。”
基礎代謝量を増やす難しさ
私自身、トレーニングを始める前はたしか60kgほど。
めちゃくちゃ細身でした。現在は80kgほどです。
体脂肪率はあまり昔と変わっておらず12%前後です。
この数字だけ見ると20kg分の除脂肪体重が
増加したというなかなか我ながら素晴らしい数字がでます。
20kg増加した私は260kcalの基礎代謝量が
増加したということになりますよね。
・・・20kgもの筋肉を搭載させてたった260kcal。
という感想が今タイピングをしている率直な感想です。
では安静時代謝に変換して仮に20%増加させ
312kcalという数字が出てきます。
要するに私は約300kcal分のエネルギー消費能力を
筋トレ前と比べて得たということになります。
1ヵ月で9000kcal、1年で109500cal分です。
おお、めちゃくちゃデカイですね。
筋トレ前と現在ではどちらが痩せやすいのか明白ですね。
では
週に1~2回トレーニングをしている初心者男性で
筋肥大を求めて過ごしているとして
その人が1年で最大の努力をしても
おそらくMAXで2kg増えたらいいかな、と思います。
それによる基礎代謝増加量は26kcalということになります。
さて、これがもし女性だったらどうでしょう?
もっと数値は低くなります。
加えて意図的に太ることを妥協して
オーバーカロリーな食生活を送っていなかったら
筋肥大は達成できるでしょうか。
できるにしても何グラムでしょうか。
そして先述の通り歴を重ねるごとに筋肥大量は減っていき
年間で1kg増えればかなりいいくらいになります。
基礎代謝を上げて・・・
みたいな文言まだ言いますか???
まだ聞く耳持ちますか???
女性の方で除脂肪体重1kg増加させることの難しさは
パーソナルトレーナーや女性トレーニーが
一番よく分かっている事なんじゃないでしょうか。
DITについて勘違いしてない?
DITも基礎代謝同様よく目にするかと思います。
食事誘発性体熱産生(Digestive Induced Thermogenesis)
といい読んで字のごとく食事によって産生する熱量のことです。
一種のエネルギー消費量となります。
1日のエネルギー消費における10%がDITによるものです。
食べるって行為でもエネルギー消費するって
カジュアルに覚えておいてください。
だから食べない(欠食)ってアホなんですよ・・・
欠食ダイエット法についてはコチラの記事。
一般的に炭水化物・脂質と比較すると
たんぱく質のDIT量がかなり大きいため
「たんぱく質を摂ると痩せる」といった言葉が生まれ
高たんぱく質ダイエットなんて一時期いや今でも出回っています。
ちなみに”単体で”摂った場合の数字になります。
しかし我々は1食でたんぱく質のみを食べている訳でないので
まとめて考慮すると10%という数字になります。
ので、たんぱく質=痩せる は成り立ちません。
この研究によると
たんぱく質からのカロリーが1%増加するごとに
わずか0.22%増加する
と結論付けております。
基本的に現状の1食の理想値は
たんぱく質が30%前後
脂質が20%前後
炭水化物が50%前後
がだいたいのスタンダードかと思います。
エネルギー摂取量が2000kcalとして
たんぱく質35%
脂質が15%
炭水化物が50%だとしましょう。
この場合
たんぱく質は700kcal分(175g)
脂質は300kcal分(33g)
炭水化物は1000kcal(250g)
ということになります。
では仮にたんぱく質量を10%アップして
先述のDITの数値に照らし合わせると・・・
DITの上昇は2.2%でありますから44kcal分になります。
多かれ少なかれ上昇はしますが
多くの文献では「無視できる量」としております。
無視できる量か?
では44kcal分のDITが上昇したとして
1週間で308kcal
1ヵ月(30日)で1320kcal
1年で16060kcalとなります。
1年とかのスパンだと
無視できない数字にはなってきますね。
しかしながら1年間怠けることもなく
ずっとコントロールされた食事をできますか?
という話になってきます。
これは極論ではありませんよ。
一切のオーバーカロリーもなく過ごすのは困難です。
実際数字というのは絶対的なものですけど
人間の生活に照らし合わせたとき
現実が見えてくるわけです。
そもそもコントロールされた食生活を
1ヵ月送るだけでもかなりストレスなはずですから
一般の方のライフスタイルにあてはめたときに
現実的な話、
DITでの消費量は大きいと捉えることは難しく増やしても
・・・という感じではないでしょうか。
焼肉やその他外食に行ってスパーんっと
オーバーカロリーになれば1300kcalなんて
簡単に超えてくる量でありますし
ローカロリーにしつつ運動を何かしらしていれば
500kcalくらいの-収支にはできると思います。
というように長期スパンで見るとDITの効果は
相殺されるかちょっと多いか程度に留まることでしょう。
だから10%くらいで考えた方が適当かと思います。
まとめ
- 塵も積もれば山となる。積らせることが出来れば。
- 運動による代謝への寄与はほぼない
- 基礎代謝を上昇させることは時間と労力が必要
- 痩せる事と基礎代謝上昇は同時進行できない
- DITの意識は特に必要ない
たんぱく質が多すぎても腸内環境が悪化したりします。
腸内環境が悪化する方がよっぽどデメリットで
たんぱく質を増やすことのメリットより大きいです。
DITによる恩恵はチリツモですが積もらせなければいけません。
要するに継続が必要ということになりますね。
基礎代謝を上昇させるにしても
根気よく筋肉を増やすために高頻度のトレーニングと
たくさんの食事を摂り続けなければいけません。
代謝を上昇させるサプリメントは存在しません。
あるのは運動と食事の継続です。