みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は、筋肥大に対する
現状の科学的な考えについて
論文を引用していこうと思います。
論文
まずは前提として、筋肥大とは
”筋全体の縦方向断面積の増加”と定義しています。
研究者たちは長年、
”ハイパートロフィゾーン”の存在を提唱してきました。
これは約6~12RMの範囲でトレーニングを行うと、
筋肉の成長が最大になるというものです。
その証拠に、競技ボディビルダーは、
筋肉を最大限に発達させるために、
この範囲のトレーニングを最も頻繁に行っています。
しかし、現状は”特定の肥大負荷域という概念”に
疑問を投げかけています。
重い負荷、軽い負荷どちらでも、
総作業量、努力レベルが一致するならば、
同様の筋肥大効果が得られることが示唆されています。
レジスタンストレーニング(以下RT)量と、
筋肥大の用量反応関係は、
逆U字型の曲線を描くことが示されており、
これはホルミシスの概念とも一致します。
RT量は多ければ多い程、
ある閾値までは付加的な筋肥大効果が得られますが、
その閾値を超えると、結果は停滞となり、
最終的にはオーバートレーニングによる筋肉の適応に
悪影響を及ぼす可能性があります。
これは間違いなく遺伝的、生活習慣的要因に基づいて
個人間で異なります。
RTによる筋肥大量は、それまでに行ったトレーニング量に
依存する可能性があることが示されています。
これらの知見は、毎週のトレーニング量を個別に設定し、
段階的に用量を増加させていくことが有益である可能性を示唆しています。
定義されたトレーニングサイクルの中で、
ボリュームを周期化することにメリットがあると提案されいます。
これをピリオダイゼーションと呼びます。
ピリオダイゼーションではオーバートレーニングの可能性を軽減しながら、
肥大に対する用量反応効果を最大化するのに役立つと考えられています。
しかし、現状の結論からまず述べていきます。
まず、ピリオダイゼーションに明確な根拠は無いです。
これは研究数も少ないためです。
あるとも言われ、無いとも言われるため、
意見の一致が起きていないのが現状です。
ただ、何らかの形でピリオダイゼーションを
行うことが望ましいかもしれないが、
厳密には必要ないのでは?という見解です。
試合や大会といった目標の場において、
最大のパフォーマンスで臨むために、
一定の期間を期分けして組む、
トレーニングプログラムのことです。
筋肉を付けていくトレーニングおいては、
筋肥大期、筋力期、試合期、回復期の4つのブロックに分けます。
これを定めた期間で回すのが、
ピリオダイゼーションです。
技術的に複雑でエネルギー的に厳しいフリーウェイトの多関節エクササイズを
低~中程度の反復回数で行い、
単関節またはマシンでのトレーニングを中~高程度の反復回数のセットを行います。
この方法は、ピリオダイゼーションとは言えませんが、
必要に応じてボリュームや負荷の少ない回復期間を挟めば、
ピリオダイゼーションの要素を含むと言えるでしょう。
同様に停滞期には、4つのブロックから強調する部分を作り、
その強調するブロックを交互に行うことも可能です。
最終的には具体的な構成とは関係なく、
課せられたストレスがトレーニングの重点移動や
回復期間によって改善され、筋肥大は最適化されます。
重要なのは、運動の選択よりも負荷ゾーンの多様性に焦点を当てていることです。
運動の選択にバリエーションがあると、
より均一な筋肉の成長が得られる可能性があります。
一般的には、1回のトレーニング量の上限を1つに筋に付き、
10セット程度とし、必要に応じて週のトレーニング回数を増やして
追加のボリューム配分することをお勧めします。
セット間の休息時間がRT反応に影響を与えることが示されています。
これらの反応は慢性的な肥大適応に影響を与えると推測されてます。
休息時間が長いグループに比べて短いグループにおいて、
長いグループの方が優れた筋肥大が見らたが、
逆の結果が出た研究も1件ありました。
肥大志向のトレーニングでは、
特定の筋肉を成長を促すためにさまざまなトレーニングを
取り入れるべきだと推測する研究者もいます。
様々な下半身種目とスクワットのみで比較した研究では、
様々な種目の方が大腿四頭のより均一な肥大効果が
得られることを報告しています。
基本的には、筋の長さを長くして筋を鍛えると肥大効果が得られます。
例えば、ハムストリングスでは座って行うシーテッドレッグカールと
寝て行うプローンレッグカールでは、シーテッドの方がより大きな筋肥大が見られます。
種目選択では筋の長さと伸張性の関係を最大限に活用する必要があります。
高度なトレーニング方法の使用は、
筋肉の肥大適応を促進することを目的に行われることがあります。
強制反復、ドロップセット、スーパーセット、ヘビーネガティブなど
ボディビルダーの間では、強度や量を足すために、
これらの方法が提唱されてきました。
RT経験が1~2年以上の人にとっては、
失敗するまでのトレーニングが、肥大適応を最適化するのに
有効であることも示されています。
ただし、高度なトレーニング後の疲労についても考慮する必要があります。
ドロップセットグループと従来の筋力トレーニングにおいて、
筋サイズの変化に有意な差が無かったことも報告されています。
また、急性筋膨脹、疲労、自覚的労作の評価も、
ドロップセットグループの方が大きいとのことです。
高度なトレーニングは、一般的に強度を高めるために使用されますが、
従来のトレーニングと比較した場合に、
肥大反応において明確な違いがないことを示しています。
有酸素運動とRTと並行して行うことで生じる、
”干渉効果”というものが長年、議論に上がっていました。
異なる運動様式のトレーニングを同時に行った場合、
筋力と肥大型の適応が弱くなるというものです。
実際、筋力・肥大と持久の適応に
関わる分子シグナル伝達経路の研究から、
この干渉効果を説明する証拠が提示されています。
ただ、このテーマに関するエビデンスは相対的に
不確かであることを考慮すると、
有酸素運動とRTは少なくとも数時間の間隔を空けて行うか、
あるいは更に良い方法として、肥大に対する潜在的な有害性を
最小限に抑えるために別の日に実施することが賢明であると思われます。
考察
現状の筋肥大に対する総括的な論文だけあって長いです。
全体だと長くなりすぎるため、
筋肥大的に気になりそうな部分を一部抜粋しているため、
本来の論文が気になるようでしたら、
リンクから飛んで読んでみてください。途中から筋肥大がどうでもよくなります。
今回の論文で誤解を招きそうな部分として、
”論文が無い=科学的に否定されている”ではないです。
論文が無いというのは、まだ研究段階、分からないということです。
過去ブログなどで私たちが言う”科学的根拠が一切ない”は、
論文があって、効果が無いと言われているものには効果が無いと言っています。
今回の論文で言うと、ピリオダイゼーションを指して言っています。
では今回の論文をざっくりとまとめです。
①重い負荷、軽い負荷でもトレーニング総量が一致すれば筋肥大効果は同じ。
②ある閾値を超えたトレーニング量は筋肥大効果が見込めず、オーバートレーニングの危険性が出てくる
③オーバートレーニングは、遺伝的、生活習慣的要因に影響される。
④筋肥大においてピリオダイゼーションに対する明確な根拠は今のところない。
⑤重要なのは負荷ゾーンの多様性。
⑥特定の部位を均一に成長させるには様々なトレーニングを行う方がいい。
⑦高度なトレーニング(ドロップ、スーパーセットetc.)に、効果は無い。
ただし、従来のトレーニングと同程度の筋肥大効果は見込める。
⑧RTと有酸素運動を並行して行うと”干渉効果”が起きる可能性がある。
数時間空ける、もしくは別日に有酸素は行う方が賢明。
では今回の論文に対する考えと、
個人としてトレーナーとしての
経験則からくる考察を述べていこうと思います。
”負荷量<回復量”これが守られている状態を維持し、
回復を上回らないギリギリの限界負荷を与え続けることが、
最も効果的な筋肥大方法です。
ピリオダイゼーションをしようとも、
高重量を扱い続けようとも、結局はここです。
ピリオダイゼーションは負荷を分散することで、
負荷量<回復量を維持しやすくしているだけです。
なのでやらずとも筋肥大は起こります。
この負荷量とはRTの負荷量ではなくだけではなく、
仕事や心理的要因、もちろんのこと有酸素運動も含みます。
回復量も睡眠時間だけでなく、心理的要因、栄養などなどです。
そんなの謎です。分からないです。
例えばの話です。
仕事が忙しくストレスがある人と、
仕事が楽でストレスフリーの人がいた場合、
どちらの方が筋肥大出来るかは誰が考えても分かるはずです。
仕事が楽なら負荷量も減る訳なので、
RTに負荷量を増やすこともできますよね。
だからこそ難しく考えすぎない方がいいのです。
だって分からない訳ですから。
傍から見たらやり過ぎかもしれませんが、
回復量が上回っているかもしれません。
全然やってないと思っても負荷量が
増えすぎているかもしれません。
これは自身の経験的な部分、
トレーニングに応じた疲労度、
成長度合いをを考えながら
調整していくのが望ましいと思えます。
オーバートレーニングの兆候が出ない範囲で
やり続ければいいと思ってください。
ちなみに初心者はよっぽど追い込めなかったり、
高重量が扱えない場合が多いので、
そこまで意識しなくていいです。
あと、初心者は潰れるまではやらない方がいいです。
負荷量が増えすぎてしまう。
けどRTはやり続けてたい。
ならば回復量を上げるように
何かしたらの事をしてみる。
それも一つの手だと思います。
そもそもの話ですが、
どんなに筋肥大の方法を最適化しようとも、
動いていない部分の筋肉は育たないです。
トレーニングフォームがおかしな人。
種目の偏りがある人。
つまり、筋肉に刺激が入ってない人です。
それは栄養素を完璧しようとも、
回復量などの調整を使用とも、
育たないものは育たないです。
サプリメントや、トレーニングボリュームよりも、
トレーニングフォームを完成させる方が手っ取り早いと思います。
世のトレーニーは食事はめちゃくちゃ意識しています。
食事量が足りない人もいますが、それは米食うだけです。
もし、筋肉のバランスや成長が足りない場合は、
トレーニングフォームに目を向けてみるのも、
筋肥大において最適解の可能性もあります。
トップ選手がなぜ凄いか。
それは理論がなくとも最高のフォームに
辿り着いてしまうからです。
サプリや食事だけ意識して、
RTをしていれば最高の筋肥大が得られます。
ですが、世の大多数はそうではないです。
なら成長を止めずに筋肥大するためには、
まず第一にフォームを確立し、
こういった論文で最新の知見を得てトレーニングプログラムを作成していくことが
論理的で、合理的で、理想的な方法なのではと思います。
まとめ
米、ササミ、ブロッコリー、卵だけ食べてるトレーニー。
大体、サイズもパワーも無い。
偏りのある食事は、回復量にも影響を与えます。
ジャンクフードや甘い物。
バンバンいっちゃいましょう。
太ったら落とせばいいだけです。
私はお客様から食事0や、
もっと野菜食べた方がいいよなど、
様々な指摘を受けている
意識低い系トレーナー筆頭でございます。