小田昌矢解体新書

みなさまこんにちは。
パーソナルトレーナーの亀山です。
今回は、小田昌矢という男について記事にします。

この男はかなり特異的なデッドリフトを行います。

スタンスとしてはスモウではなく、ワイド。
重心はつま先側に乗せるというフォームをしています。
ミッドフッドで踏ん張るというデッドリフトの基本とは違います。

腰椎は真っすぐで、胸椎は完全に曲がっています。
小田昌矢は背中の筋力としては、下半身と比べるとかなり弱いです。
それもあって胸椎側、背面上部は重量に負けます

背中が負けても、胸筋で代償動作を行い、
胸椎をニュートラルに保とうとしますが、それも起きていないです。
むしろ、重さに引っ張られて、胸椎が潰れている様な印象があります
普通なら、この時点で脊椎をニュートラルに保つことは出来ず、
腰椎が曲がり、腰を痛めるフォームに基本的にはなります

小田昌矢のフォームは教科書的なフォームとは全くの別フォームで、
パット見で見ると、腰を痛めそうには見えますが、全く痛くならないそうです。

デッドリフトには吊上デッドリフトというものがあります。(以下画像参照)

スタンスはコンベンショナル、腰椎はニュートラル、
肩甲骨を外転させ、吊上げていくフォームです。
このフォームのメリットはモーメントアームを短くし、
最小軌道を通れることです

背中の強さと背面上部を脱力、下部を固定と難易度がかなり高いフォームです。
小田昌矢のデッドリフトを思い出してください。
腰椎をニュートラル、胸椎側が重さに負ける(肩甲骨外転+胸椎屈曲)と、
吊上デッドリフトにかなり近いフォーム
となっています。
違うのは、大きく二つ。
スタンスがワイドなのと、小田昌也の”背面の下半身に比べての弱さ”。
スタンスがワイドになるという事は、その分、臀筋や内転筋が活発になります。
小田昌也の臀筋は他のどの部位よりも発達しています。
もちろん、デッドリフトを続けていれば、臀筋などが発達していきますが、
それでも群を抜いて、発達具合が他部位と比べて著しいです。

たまたま、面白い論文を見つけ、これに近しいことが起こることで
小田昌也の臀筋群の発達が促されているのではと考えました。
その論文はこちらです。
内容としては、慢性的な足首不安定症(CAI)の人は力発揮ができるかどうかの研究です。
結果として、健常者よりも慢性的な足首不安定症の人は、
臀筋群の最大筋力と力発生能力が高かったという結果
です。
この論文は、CAIと健常者それぞれ11名とサンプルが少ないため、
断言はしきれませんが、その可能性を示唆してるぐらいには
結果を受け取ることもできます。

小田昌也は元キャッチャーです。
キャッチャーの姿勢は内転筋の柔軟性を必要とし、
重心はつま先側に重心を乗せ、
柔らかくも見える、足首には異常な固さがあり、
まともに正座が出来ないほどに固いです。
スクワットでしゃがもうとすれば、拇指側に重心が乗り、
小指側とかかとは若干浮きます。
ただ内転筋が柔らかいため、膝はしっかり開きます。
この状態では、普通なら足首は力発揮ができる状態ではなく
重量は扱えないと思えます。
それでも、小田昌也は重量が扱えるのは、
CAI患者と同じように臀筋群の最大筋力、力発生能力が

強いからではないかと考察します
これと同じように、デッドリフトでも臀筋群が力発揮をし、
上半身の力ではなく、臀筋群を支点に、
クレーンのように重さを吊上げているのではないかと。
支点が臀筋群になっているため、脊柱に一点集中の負荷が乗らず、
うまく負荷が分散し、腰を痛めた人でも出来る、腰に優しいフォームです。
実際にワイドスタンスぐらいですと、スクワットとそこまでの
スタンス差はないため、力発揮は近しいものになります。
つまり、小田昌矢のデッドリフトは教科書的なものではなく、
キャッチャーをやってきて、そこから重量を扱うパワーリフティングを
行うようになった小田昌也独自のデッドリフトとも言えるだろう。
同じことをしようとしても、ほとんどの人はできないと思います。
私は確実にできないです。
同じような経歴をしていれば近いフォームが型にはまり、
重量を扱えるかもしれません。

デッドリフトは当ジムにいる3人のトレーナーでもそれぞれフォームが違います。
背中優位吊上式(KONDO)、臀筋優位吊上式(ODA)、教科書式(KAMEYAMA)と
さまざまなフォームがある。
140㎏デッドリフト祭りでも全員、腰が痛くなることもなく、
重量も伸びていっているため、間違ってはいないだろうと考えます。
そう考えると、デッドリフトは人の数だけフォームがあるとも言えるため、
習得はかなり難易度が高い種目と言えます。
それでも習得すると、かなり楽しいです。

まとめ



この記事を書いた人

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KAMEYAMA

パーソナルトレーナー
NSCA-CPT

ボディメイクを目的に元々トレーニングしてきましたが2020年よりパワーリフティング競技者となるべく自身のスタイルが変わりました。指導内容は解剖学に適切に沿いながらレベルを問わず基礎基本を丁寧に、そして応用やパワーのテクニックを加えて指導します。ボディメイク指導が最も得意としていますが今後はパワーリフティングの指導もできるように精進します。